在庫は、我々がした事の結果なのです。我々がやっているしくみの結果が現れるのです。また、単に在庫水準だけを目標とするのではなく、強いモノづくり職場を追い求める姿勢が大切です。少し長いですが、書籍「セル生産」のコラムを以下に引用します。

 コラム④ : 一生に一度の在庫低減
 私たちは、「在庫管理」と言うと、すぐ「最大最小の管理レベルは」という話をします。これはこれできちんと管理できていればいいのですが、落とし穴があります。
 まだ駆け出しのころ、在庫の指導を受けたことがあります。

その方は、「在庫評価で、昨夜減らしておいて今日少ないですと言う。そんなのは意味がない」と言われました。そのような状況では、在庫を減らしても、その在庫低減の費用効果は単純には一度だけです。それを「一生に一度の低減効果」と言われました。
 本来の在庫低減の目的は、少ない在庫でやってみて、そこから出た問題に対策を立て、いかに製造現場を強くしていくかです。「在庫は結果に過ぎない」という言い方もあります。在庫を見ることによって、製造現場の実力がわかるから「在庫が多い」「少ない」という言い方をするのです。在庫レベルはラインの実力を表す結果だからこそ、見るのです。
 ですから、現在のライン能力が十分にないのに単純に在庫を減らすと、おかしなことになります。後工程に全然間に合っていなくて欠品ばかりなのに、在庫報告では、管理レベル以下なので問題がないとする事例もありました。
 必要な在庫は持たなくてはいけないのです。その上で、最小在庫で、最後は在庫ゼロでつくれるラインを目指します。目的は、リードタイムの短縮でしょう。ラインでの停滞をなくし、全体最適の考え方で、顧客のニーズに対応できる真の実力をつけるのです。
 私が受けた、先の指導は、単に在庫を論じてもしょうがない、ラインの本当の実力はどうですか、きちんと改善していますか、と言いたかったのだと思います。在庫低減活動によって、「一生に一度の低減効果」などではなく、そこに至る活動の効果やキャッシュフローの活用など、目にすぐ見えない効果を目指すことが大切なのです。
 単純に「在庫が多い、少ない」などという見かけ上の現象にとらわれないで、良いものを、安く、早くつくる力をつけるために、あるべき姿を追求していくのが在庫管理ではないでしょうか。

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