生産性を追求する時、ややもすると「1日でどれだけ生産するか」という方向に行ってしまいがちです。そのことが如何に多いのかと先輩のコンサルタントが、よくお話されます。「つくり過ぎによる不良在庫のムダ」を発生させないことが真の生産性であり、大野耐一さんの目指す「ジャスト・イン・タイム」への挑戦でした。昨今、原因・理由はともあれ、結果として大きな商品在庫をかかえて苦しんだ車業界も在庫調整が一巡し少し明るさがみえてきたのは何よりです。
必要なものだけ造る「売上=生産」という理想形をめざすことが、今後とも求められていると感じます。高度成長時でも減産時でも対応できるしくみを追求することが日本の製造業にとって重要です。
また、稼働率がそのまま生産性と理解してしまうことは、ありがちです。設備の管理指標を主に稼働率に着目し、必要数以上の生産をしても問題だと感じないというようなことを、欧米系の会社でよく経験しました。ましてや、不良品を作ってでも生産数を上げていくのは本末転倒と言えます。
大野さんが述べる「量がふえることによって生産性や能率を上げることのできる人間は、いくらでもおる。ところが、量が減ってもなおかつ生産性をあげることのできる人間は、そうおらんだろう。」という言葉をかみしめます。