トヨタ生産方式は、常に進化していると言われます。トヨタ生産方式自主研究会(通称自主研)の中に身をおきましたが、ある時突然、「これは、常により良い造り方を追求する場なんだな」と頭に浮かんだことがあります。これらの一般に言われる改善活動を外から始めて見ると、単純に効率だけを追求しているように勘違いし抵抗を感じるのは、私も同じでした。特に、技術屋と呼ばれる人の抵抗は多いです。一つには、トヨタ生産方式を指導すると称する乱暴なコンサルタントをいまだに見聞きすることもあるからでしょう。

 この事は、田中正和さんも、「間違いだらけのトヨタ生産方式;工場管理Vol.53 No.1,2007 P72」 で「21世紀の現代においてもまだ、当時すなわち40年前の状態をそのまま再現しているコンサルト団体が複数ある」と述べています。少し前のトヨタ生産方式自主研究会においても、乱暴な言葉使いと振る舞いをする人がいたことも事実ですが、おおよそにおいては、「後のC社長は、きちんと論理的に説明されていた」というような指導者が主流かと思います。
 大野さんも怖かった、猛獣の名を冠した〜丸も怖かったという時代もあるのですが、これについて、直接大野さんから指導された人と話したことがあります。今でこそ多くの人が、今のトヨタがあるのは大野さんのおかげですというけれど、そのころは、「とにかくやらせてみること」や「あるレベルまで形にすることが先決だった」から、乱暴な形でやらざるを得なかったんだろうねと言われました。だから田中さんがいう「ご指導が理不尽に聞こえた」のでしょう。今は、トヨタ生産方式も理解されてきて、改善に対するマインドもあるので時代は変わってきたのでしょう。
 特に海外での指導では、一言で言えば「論理的に」といつも思います。「何故、これをするのか?」に、きちんと答えられなくてはいけないのです。「やれっ」といっても、「うれしさ」がなければ、彼らは絶対にしません。だから、「それをするうれしさ」を示すことが重要です。乱暴に空箱を足で蹴って、「これは何だ」と言ってもついてこないのです。以前はそういう人もいましたね。

 また、ある改善団体の指導を受けている会社の人から、意見を求められたことがあります。TPSのコンサルタントは、人によって言うことが違いますということです。
この質問は良くあります。この指導団体は、主体が工場出身者が多いですから改善スキルは非常に高いのです。でも教えられる方としては、いつも違うことを言われているように思えて大変だったようです。これに対し、私は「目指す姿----目標とするイメージ」は、同じなんだと思いますよ、ただ、当面の目指す事、実施する事が人によって違うので、まちまちの事を言っているように聞こえるのだと思いますよ、もちろん良いコンサルタントという前提がありますがと話しました(本「セル生産」P175;右図参考)。この会社では、想像ですが、まだ共通の目標を共有していないのか、または、いたとしてもお互い理解しないまま進んでいるのだろうと思われます。これ自体指導側の難しい課題です。

 最近の環境は厳しく、ともすれば現場サイドの体質改善だけでは対応できないくらいですが、だからこそ、今後とも合理的な考え方を追求する姿勢を日本の製造業が持つことが大切だと思います。トヨタ生産方式を指導する方や指導書にもいろいろありますから、ニーズに合ったやり方ができたらと思います。良い指導者は、理想的な姿に到達するために、状況に合った方法を考えます。

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